間愛のつめかた

椀の中身は、
美しく切られた色とりどりの野菜と鶏肉の汁物だった。

山椒の葉が乗っていて、
食欲をそそる匂いと一緒に、かすかにさわやかな香りが鼻をくすぐる。

小鉢のほうは、これも芸術的と呼べるほど完璧な盛りつけを施された蒸しものである。

こちらは葉物と一緒に黄色い色が散らされていて、柚子の良い香りがした。


「お椀のほうは鴨肉を野菜と一緒に煮たもので、小鉢は、蒸したカブに青物を散らしてお魚のすり身を添えたものです」


下座にかしこまった留玖がそんな説明をして、

ごくりと自然に俺ののどが鳴った。


「す……すごく美味そうだぞ、留玖」


と言うか、

目の前の膳に乗った料理は、普段俺が口にしている──城の料理人たちが作った食事と比べても何ら遜色ないように見える。


「ほんと!?」

俺の言葉に留玖の顔がぱあっとほころんで、

「あの、豪華な食材ではなくてごめんなさい。

でも、その……大福には、高価なお砂糖(*)をたっぷり使ったので」


ひかえめにそう言う彼女に、俺は感動しながら言葉もなく視線を注いだ。



(*砂糖:既に広まって菓子類に使用されてはいたものの、この時代には砂糖は高級品だった)