間愛のつめかた

彼女の口に上った名の男は、この場に姿がない。


優しい留玖は今日の宴席に彼も同席させて、手料理を振る舞いたかったようだが──

「ああ、声はかけたんだがな。
悪ィ、留玖。宗助には断られた」


俺が砂倉家当主の座に着いた、二年前のあの事件の後、


それまで中間として結城家に仕えている表の顔も持っていた宗助は、

俺の忍に徹して生きる道を選び、表の世界から完全に姿を消した。


「こういう場には顔を出せないってさ」

「そっか……」

留玖は少し残念そうな顔を見せたが、
俺が「後で食べるように言っといてやるよ」と微笑むと、納得したように膳を配り始めた。


「あの、ちゃんとしたお膳の数になっていなくてごめんなさい」

そんな言葉と一緒に目の前に並べられたのは、

フタをした大きめの椀が一つと、
これまたフタをした小鉢が一つ、
それから飯と──


「留玖、これもお前が作ったのか?」


皿に乗せられたやたらと大きな大福に、俺は目を丸くした。