間愛のつめかた

「って、なんでまた男装!?」

稽古着でこそないものの、今日も俺の小姓のような袴姿の留玖を見て、隼人がツッコミを入れる。

「えっと……これは、殿のご命令で」

もごもごと留玖が口にした返答に、隼人はあきれた顔をした。

「どういう命令?
剣術やるわけじゃなくて料理作るのに、なんでこんな色気のない格好させるわけ?」

理解し難いという口調でそうぼやいてから、

なにやら、狐目の男はカンに障る目つきになって、留玖をしげしげとながめて、

口元をゆるませた。

「まあ、この格好はこれで……昔から妙な色気はあるっつうか……悪くはねーと思いますけど」

おいコラ。

「なになに? 殿ってそういうシュミ?」

「俺は自分の女を男装させて喜ぶシュミなんざねえ!」

俺の留玖をそういう目つきで見るな!

キレそうになりながら俺はどなって、

「えっ」と言って、留玖が衝撃を受けた顔になって俺を見た。

「あ、いや! お前がどんな格好してくれても、俺は喜ぶが……」

あわてて言い添えると、隼人が「へー」と言いつつ半眼になって俺と留玖を見比べた。

留玖は真っ赤になってうつむいた。

「そんな、他の人の前で『自分の女』だなんて……」

「へ?」

「もう……恥ずかしいよ」



──反応したのはそこか!?



よく見ると、伏せた彼女の顔はどこか嬉しそうだ。



むう……かわいいぞ。



俺は思わずにやけて、

「相変わらずかわいいねェ、おつるぎ様は」

留玖のそばにいた与一の言葉で笑いが引きつった。