間愛のつめかた

「かわいいかわいい留玖の頼みじゃなかったら、俺だってなァ──

優しい留玖に感謝しろよ、てめえら!」


本当ならば、

忌々しいことにここには仕置家老の藤岡と、俺の守り役の菊田までちゃっかり同席する予定になっていた。

留玖はよりによってこの二人にまで、ぜひ礼をしたいなどと言ったのだ。


もっとも、

狸ジジイと菊田のオッサンは、
日頃の行いが悪かったのか、腹痛と頭痛でそろって朝から政務も休んでいて──この場に姿はない。

ざまあみろだ。


そして、これまた心がけが悪かったのか、留玖の手料理を味わえない男がもう一人。


弟とは反対側で──殿様の俺に最も近い上座の席に着いている覆面家老を、

「残念だったな、青文。今日も歯痛とは」

俺はせせら笑った。


青文は何日か前から歯痛を患っているようで──ここのところ政務中も覆面の上から押さえたり、痛そうにしていて──

俺も大丈夫かと声をかけていたのだが、


運悪く、そんな時にこの宴席が重なった。

俺が今日のことを伝えたのは昨日だったから、一日で完治させることは不可能だったというわけだ。

人心に通じた男も歯痛までは操れなかったらしい。


冬馬の向かいに座る青文の覆面に隠れた顔は、今もどの程度腫れ上がっているのかわからないが──


「まあ、おつるぎ様のせっかくのご厚意ですから。

私は『様子を見ながら』いただきますよ」


頬を押さえながら、青文はそんな言葉を返してきた。