間愛のつめかた

桜色に上気した頬で、ニコニコとまぶしすぎる笑顔を俺に向けて、

「だってみんなのおかげで、エンも私も今こうして一緒にいられるんだよ?」

留玖はどこまでも無邪気に言った。

「すごくお世話になったと思うでしょう?」


いや、それは俺ももちろん感謝しているが。

だからそれぞれの家の家禄は加増したし、与一にも褒美を出した。


「えへへ、私からもお礼したいなあって、ずっと思ってたの。

エンと一緒に、みんなにもご飯食べてもらえたら嬉しいな」



……違う。

違うぞ。

それは違うだろ、留玖。


手料理って──お前が俺のためだけに作ってくれるから価値があるんじゃねーかよ!

いや、留玖が作ってくれるなら、それだけで価値はあるけど……


冗談じゃねえ!

俺は一人で留玖の愛を全部食べたいのに──


「やっぱり無理なこと……だったのかな」

絶句してわなわな震えている俺を見て、留玖はしょんぼりと肩を落とした。


「そうだよね。
与一さんなんて身分も違うのに、お城に呼んでなんて……

常識がわかってないお願いだったよね……」


常識ではなくて、男心がわかっていないお願いだった。


他の連中に、誰が留玖の手料理を食わせてやるかよ!


俺は当然、こんな「お願い」ならつっぱねようとした──

──のだが。


「ごめんなさい、エン」


う!?


かわいいかわいい留玖が、
腕の中で悲しそうに目を伏せるのを見たら──



つい──




「なんで聞き入れちまったんだよ、俺!?」

留玖の料理を待ちながら、

勢ぞろいした面々を前にして、俺は過去の己を呪った。