【円】
「俺のために手料理を……!?」
三日ほどして、
晩酌の時に留玖が口にした内容に、俺は驚いた。
手にした杯を置いて、横に座った留玖の顔を思わず見つめる。
「留玖、お前が作ってくれるのか……?」
「うん。あのね、うまく作れるかわかんないんだけど……」
留玖はまた蝋燭の灯りの中で、頬を外の桜葉のように染めてうつむいて──
「でもね、私がんばるからね、」
一言一言、どこか懸命な様子で言って顔を上げ、
「エンが食べてくれたら……うれしいな」
俺のそばにちょこんと座ったままこちらを見て、春の木漏れ日のごとき微笑みを作った。
な……
なんてカワイイんだよ──!
笑顔に心の臓をわしづかみにされ、
視線に魂ごと射殺されて、
理性の吹っ飛んだ俺は留玖を力いっぱい抱きしめた。



