間愛のつめかた

嘆息して、
青文が新たに持ってきた書物に俺が手を伸ばすと、

「意外だな」と、青文は面白そうな口調で言った。

「殿は、こんな読み物の時間は惜しんで武芸の鍛錬の時間を増やすか、早々に政務に口を出してくるかと思ってたんだがねェ。

あんたのことだ。
おつるぎ様と各地を回ってきて──この国で実行したい政策も腹の中に持ってるんだろ?」

やはりこちらのことを見透かした言葉だった。

「ご明察の通り、いくつか考えてることはあるけどな」

俺は苦笑した。

「俺が早々に政務に口を出せばどうなるのかも、旅の途中で見てきた。

今、俺が思いつきの政策を実行しようとしても、重臣たちは誰も本心では相手にしないだろう。

それを強行して失敗すれば、皆の信用を失う」

「ほほう、らしくねェな。失敗を恐れるのかい?」

「恐れるさ」

手にした書物を開いて、目では字面を追いながら俺は言った。


「俺が政策に失敗して苦しむのは、この国の民だ。俺じゃねえ。

結果として──

民の信用を失えば、留玖の村の連中のように反乱を起こそうとする者が出るし、

家臣の信用を失えば、謀反人が出る。

その場合だって、痛い目を見るのは殿様の俺じゃねえだろ。他の奴だ」


「ふふ、長い回り道は、どうやら本当に無駄ではなかったらしいな」

青文は満足そうにそう言って、


「そうだ、あんたに聞こうと思ってたんだけどよ」

思い出して、俺は口を開いた。