間愛のつめかた

「ならばやっぱり、贅沢な料理を作らなくても殿には喜んでもらえそうだな」

「やっぱり?」

「うん、殿には以前、私が長屋で作った鳥料理をお出ししたことがあったのだが、特に豪華な食材を使っていなくても、美味いと言って食べて下さって……」

「え……」


私の手から碁石がこぼれ落ちて、

はっとしたように、亜鳥が口をつぐんだ。


私はぽかんと、亜鳥の顔を眺めた。


「亜鳥さんは、殿に手料理を食べてもらったことがあるの……?」


私は……ないのに。


「ま、待て……!」


私の顔色を見て、亜鳥は慌てた様子になった。


「あ、あの時は、殿に食べてもらうことが目的ではなくてだな、青文殿に出す前に料理の味を見てもらったと言うか……いや、それも無礼な話なのだがね……」

「……そうなんだ」

「おつるぎ様……?」


エンは、亜鳥さんの手料理を食べて、おいしいって言ったんだ。



エン……



私は衝撃を受けてしまって、

何も言えなくなって、

そのうち何だか目がうるうるしてきて──


「殿にも私にも深い意味はなかったのだよ!

頼むからそんな、捨てられた子犬みたいな目で見つめないでくれ……!」


亜鳥が悲鳴に近い声を上げた。