間愛のつめかた

「ともかく、昔台所に立ったことがあるのならば、料理の仕方は教われば何とかなるのではないかね。

私も少しならば教えることができると思うし」

再び碁石を打ちながら亜鳥はそう言って、

「本当ですか!?」

私は目を輝かせた。

「あとは、殿の好みがわかれば……」

「殿の好み?」

「うむ。殿が好きな料理とか、味付けとか──これは、結城家でずっと一緒に暮らしていたおつるぎ様ならば詳しいかな」

エンの好きなもの……

「アサリやハマグリみたいな貝が嫌いなのと、甘いものが大好きなのは知ってるけど」

「確か、殿は砂倉家に入ってすぐ、
御台所の経費を削減して、ご自分と奥の御食事を二の膳(*)から一汁三菜に変更したのだったな」

「はい」



(*二の膳:飯、汁と料理が数皿の「本膳」、汁と料理が数皿の「二の膳」という二つの膳から成るプチコース料理みたいなもの。
江戸時代、将軍や大名の普段の食事は大体コレだったらしい。

本来は本膳料理といって更に「三の膳」が続くフルコース料理で、大名や将軍の宴会料理では、もっと膳の数を増やした「五の膳」や「七の膳」が出されることもあった)