今度は亜鳥が驚いた顔になった。
「あ……そんなの、やっぱり非常識……ですよね……」
私はしょんぼりと肩を落とした。
結城家にいた頃も、上級の武家の娘は料理なんてしないと教わったし……
だから、亜鳥が青文に手料理を作ったと聞いて驚いたのだけれど。
それに、お殿様である円士郎が食べる料理は、厳重に管理されたお城の台所で料理人たちが作るもので、
城の台所というのは、女中が出入りするような普通の武家の台所とは全く違っていて、
亜鳥が言うように女の──しかも側室の私が立ち入ることができるような場所ではなかった。
「非常識と言うならば、殿のほうが遙かに非常識だけどな」
うつむいていたら、亜鳥が碁石を打ちながら苦笑しているような声で言った。
「大名行列から行方をくらまして半年間も武者修行の旅に出るなど、どこの大名でもやらないぞ」
うっ……!
「そ、それ……私もくっついて行っちゃったんですけど……」
「…………そうだったね……」
ますます顔を上げられなくなって、碁盤を見つめたまま碁を打っていたら、
「ま、まあ、アレだな。
今さら非常識だなどと気にすることはないんじゃないかね。
おつるぎ様がそうしたいのならば、殿に手料理を振る舞って差し上げたらいいのじゃないか」
亜鳥はそう言ってくれて、
「えっ?」
私は顔を上げた。
「そ……そう思いますか!?」
ぱあっと顔がほころぶのを感じながら私が尋ねると、「うむうむ」と向かいで亜鳥は頷いて、
それから眉間に皺を作った。
「しかし……仮に城の台所に入ることができたとして……
失礼だが──おつるぎ様、料理をしたことは?」
「あ……そんなの、やっぱり非常識……ですよね……」
私はしょんぼりと肩を落とした。
結城家にいた頃も、上級の武家の娘は料理なんてしないと教わったし……
だから、亜鳥が青文に手料理を作ったと聞いて驚いたのだけれど。
それに、お殿様である円士郎が食べる料理は、厳重に管理されたお城の台所で料理人たちが作るもので、
城の台所というのは、女中が出入りするような普通の武家の台所とは全く違っていて、
亜鳥が言うように女の──しかも側室の私が立ち入ることができるような場所ではなかった。
「非常識と言うならば、殿のほうが遙かに非常識だけどな」
うつむいていたら、亜鳥が碁石を打ちながら苦笑しているような声で言った。
「大名行列から行方をくらまして半年間も武者修行の旅に出るなど、どこの大名でもやらないぞ」
うっ……!
「そ、それ……私もくっついて行っちゃったんですけど……」
「…………そうだったね……」
ますます顔を上げられなくなって、碁盤を見つめたまま碁を打っていたら、
「ま、まあ、アレだな。
今さら非常識だなどと気にすることはないんじゃないかね。
おつるぎ様がそうしたいのならば、殿に手料理を振る舞って差し上げたらいいのじゃないか」
亜鳥はそう言ってくれて、
「えっ?」
私は顔を上げた。
「そ……そう思いますか!?」
ぱあっと顔がほころぶのを感じながら私が尋ねると、「うむうむ」と向かいで亜鳥は頷いて、
それから眉間に皺を作った。
「しかし……仮に城の台所に入ることができたとして……
失礼だが──おつるぎ様、料理をしたことは?」



