【剣】

長い長い年月をかけて辿り着いたあの夜が明けて、

初めて迎えた朝──


優しい手が触れるのを感じて目が覚めると、私は大好きな人の腕にすっぽりと包まれていて……

一生こうしていると言ってくれた言葉のとおりに、円士郎は私の肩をしっかり抱いていて……

いつからそうしていたのか、私の頭をなでてくれていた。


どきどきしながら頭を動かして、円士郎の顔を見上げたら彼と目が合って、

円士郎は優しい目で私を見つめて、


生まれるなら戦乱の世が良かったと思っていたと、そんな話をして──


「でもよ、今はお前がいるこの時代に生まれてきて良かったと思うぜ」


肩に回されていた彼の腕に、ぎゅっと抱き寄せられて

私は円士郎の胸に押しつけられて


「留玖がいる、今がいい」


円士郎の声が耳元でそう囁いた。