間愛のつめかた

「私は碁よりも将棋が好きだなぁ……」

自分の陣地を広げていく感覚の囲碁も面白いけれど、

やっぱり将棋のほうが、順に兵を進めて敵将を討ち取るみたいで楽しい。

「碁ではぜんぜん殿に勝てないから、つまんないし」

ほほう、とやっぱり男の人みたいに言って、亜鳥は面白そうな顔をした。

「つまり碁では殿より青文殿が強く、将棋では殿よりおつるぎ様が強いということか。
知略と武芸に抜きん出た二人をそのまま表しているようだな。

そうか、おつるぎ様は碁はあまり得意ではないのだね」

亜鳥の目がきらんと光った。

「将棋はやめにしよう。次は碁を打とうじゃないかね」

「えー?」

なんでっ……!

「碁ならば、青文殿と打っているから私も強いぞ。
それとも双六(すごろく)にするかね? 実は人体の中身を盤面にした絵図を持ってきたのだが……」

「って、亜鳥さんが描いた双六の盤面!?」

そばに丸めて置かれていた紙をいそいそと広げ始めた女絵師を前にして、私は慌てた。