だが、今のこの時、
額から流れる汗や乱れた髪、
崩れたスーツなんてものは、
どうでも良かったんだ。
俺はポケットから携帯を取り出し、親指で力強く開いた。
そのまま、電話番号を
『〇〇〇―△△△△』
光のように打ち込んだ。
自転車をこぐ足は止めずに、
携帯を耳にあててじっと待つ。
プルルルル……プルルルル
一秒が永く感じる程の沈黙。
「頼む!! 頼むから、早く出てくれ……頼むから……」
携帯を握る手が、自然と汗ばんで来る。
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