化学室のノート【短編】




「あ、そういえば
私9割超えたよ!812点!!
春から一組だよ!!」




彼と二人で
黒い机に腰掛けて
私はにこにこと笑って言う。




「俺も9割超えた。
春から同じクラスだな」




その答えに私はほころぶ。




「そうだね。
あ、でもね?」




「なんだよ」




まるで悪巧みを思い付いた子供のように、私はいたずらに笑う。




「今日、ここで私たちが会ったことは、『今日の』二人だけの内緒にしよう」




「どういうことだ?」




「ここで私に会ったこと、一旦忘れて欲しいの」




「は?」




怪訝な顔をする彼に
わたしは不敵に笑った。