「…サキ…。ちょっと…
お話があるの…」


母親が、サキを呼んだ。


「ん??なあに??」


サキは笑顔で母親の方へ向かう。


「あの…ね。明日から…サキは学校へ行かなくていいの。」


「…えっ…!?」


笑顔が消えた。


「もう、停学届けも…
出したから…。」


「…そんな…ひどいよ…
どうして…!」


サキからわずかに黒い霧が
溢れ出す。


俺は、なぜかほっとした。


あのシナリオを実行しなくてすむからだろうか。


俺は数珠を向けた。


「サキ…、お母さんこの間、お父さんと出掛けたでしょう??そのとき、病院へ行ったの…。」


「びょ…病院…?」


サキの黒い霧が消えていく。


俺は、そのことに肩を落とした。


向けた数珠をまた首にかけなおした。