「…ああ…マ…マ…マオ様…」


トウヤは鬼を見るかのような顔で震えながら絞し出すように話した


「二度もジルによって、禁を犯すとの報告を受けるとはな…。嘆かわしい。」


ヨクはサキの首から手を離した


ヨクの身体は力が抜けたのか、しゃがみ込んだ


俺はヨクの身体を支えた

「ふう。まずは…。」


ドンッ!!


「キャアアアア…!!」


マオ様が、ヨクの身体に手を向けた途端だった


「ヨク!!」「ヨクさん!!」


これは知っている


あの…消去の能力だ!!


「ヨク!!ヨク!!」


俺はヨクをゆすった


「レ…イ…?」


弱々しい声で必死に俺に手を伸ばしてくる


すでにヨクの腹部は泡のような水のようなものに変わっていた


「…っヨク!!」


俺はキスをした


唇を離したときには、ヨクの形すらなかった


「…っうううっ…ご…めん…好きだよ…」


俺が想っているのは…


ヨクだ。