ヨクを部屋まで送り届けた帰り道。


異様な雰囲気が背後から
襲ってきた。


「…………」


「死人への情けとは、なかなかにおもしろい。」


この声―…


「だが、その相手に殺されるとは…。くくっ。涙も出ぬわ。
のう、レイ?」


「…………」


「生温い感情は欝陶しいものよのう。心を弱くする。
いらぬものは棄てる。
それが、生きやすいというもの。」


「…そうですね…」


「ふっ、さすが、才ある者は違う。」


フッと嫌な重圧が消えた。


後ろを振り返ると、誰もいなかった。