「約束、覚えてる?」
「約束‥?」
私先生といつ約束したんだろう、うーん‥と首を傾げるが全く出てこない。
「‥すみません、ちょっと分からないです」
「そっか」
先生は少し辛そうな顔をすると、直ぐに表情を変え私を見据える。
「迎えに行く、と言った」
「迎えに‥?先生が?」
「あの公園で俺は君にそう言った、だからこうして‥編集長に頼んでバイトと称して連れてきた」
一気に話を言うと、先生は珍しく沢山話したからか少し疲れた様な顔をしている。
‥ちょっと待った、編集長に頼んだって事は真美さん知ってたの?!
「先生、あの‥」
「君が俺を勇気付けてくれた‥あの日から、君を忘れられなかった‥」
先生は車の座席にもたれ掛かり、一口コーヒーを飲む。
「君は凄く‥俺にとって掛け替えのない人なんだよ」
「‥‥っ」
「だからこれからもよろしくね、沙由ちゃん‥?」
先生が今言った言葉に深い意味はないと思う‥けど、今不意にドキッとしてしまった。
ぼんやりしていた私は先生の言葉に、短く「はい」としか返事が出来なかった。
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