慌てて彼の携帯に電話する。

『…見失った?』

「ぅんっ!どこにいるの??」

「何見失ってんの」


キョロキョロとしながら半泣きでいるアタシの横に気がついたら彼が立っていた。

意地悪そうな笑いを浮かべて。


「だって…人がたくさんなんだもんっ」

「そーですか。
あっちの方でも行く?」

「あっ…!」


アタシは前を歩こうとする彼の腕を掴んだ。


「……もぉ迷子になりたくない」


アタシなりに精一杯の勇気を出して甘えてみた。