ある聖夜の物語《短》


タキに告白しに来た女の子達は皆、自分がタキと釣り合うだけの自信があるのか、かなり上玉揃いだった。

そんな人達を、私が知っているだけでも六人も振ったタキには何か特別な理由があるのでは、と気になっていた私。

「ああー…別に好きじゃないし」

でも、あまりにもまともなその答えに私の探究心は一気にしぼみ、そのかわりに疑問がむくむくと膨らみだした。


こう言ってしまっては失礼だけど、タキは決して誠実な男というわけではない。

むしろその外見を有効利用して、かなりの人数の女達を誑かしてきた。

好きでなければ付き合わない……もっと下品な言い方をすれば寝ないだなんて、口が裂けても言えない男なのだ。

「タキってそういうタイプだったっけ?」

だから私がそんな失礼な疑問をタキにぶつけてしまったのは、仕方がないことだと思う。