ある聖夜の物語《短》


参加予定だったクラスメイト達の文句を肴にしながら、ビールを二缶ほど摂取した頃。

「そういえばタキさ、クリスマス前にかなり告られてたよね? なんで断ったの?」

クラスメイト達に対する文句もなくなり、いい感じにアルコールが回ってきた私は学生らしい会話をタキに振ってみた。


タキは、モテる。

整った顔立ちとそれをさらに魅力的に見せている、アッシュブラウンの髪。

平均よりほんの少しだけ高い身長に、水泳の時間には女の子達が授業を抜け出してまで見に行くほどのスタイル。

今だって身につけているものはラフな長袖Tシャツとスウェット地のズボンだっていうのに、タキが身につけているだけで何だかお洒落に見えてしまう。

そんなタキを女の子達が放っておくはずもなく、年下、同級生、年上……あらゆるジャンルの女の子達がタキを攻略しようと教室に乗り込んできたのだ。