「確かに。あれだけタキがアピールしてんのに全く気付いてないもんな」

「だよね。ノエ、自分が特別扱いされてるって気付いてないもん」

近くにいるものと好き勝手に話しはじめた男女を放って、眼鏡の彼は静かにソファの端っこに座った。

この会話に参加するつもりはないらしい。


「だけどこれであいつらがくっついたら、俺達キューピッドじゃん」

集まったらしいお金を布に包んでいた男の子が、皆にそう笑いかける。


「クリスマスだからサンタクロースのほうがよくない?」

「あー、そうだよね。タキにチャンスをプレゼントしてるもんね」

彼の問い掛けに反応した二人の女の子が、ケラケラと笑いながらそう言った。


「……まあ、大晦日に詳しく聞き出そうぜ」

そう意地悪く笑う男の子。

彼に同意するように全員、同じような笑みを浮かべて頷いていた。


「よし。じゃあそろそろ歌うか! 俺、アニソン歌ってもいい?」

「おお! 歌え歌え!」

「私も歌いたい!」

アニソンがそんなに好きなのか、顔を輝かせながら次々と手を挙げていく男女。

その勢いに押されるように先程の何か企んでいるような雰囲気から一転して、部屋は馬鹿騒ぎに包まれていった。