ある聖夜の物語《短》


「人の顔や身体ばっかりじろじろ見てさ。そんな男と付き合うわけないじゃん」

全然痛くないのに叩かれた場所を撫でながら、タキから視線を逸らす。

自分でこんな事を言ってしまえばナルシストみたいだけど、私はどうやら男好きする見た目らしい。

綺麗や可愛いより色っぽいと言われることが多い顔立ちに、グラビアアイドルみたいだと称されるスタイル。

一応、私も女だからそう言われることは素直に嬉しいと思うけれど、私の中身を見ようともしない男なんてごめんだ。


「それはまあ……同じ男としては、わからなくもないけどな」

歯切れの悪い言葉になんとなく。タキが今どこを見ているのかわかってしまった。

タキは胸でも脚でもなく、腰フェチなのだ。

ちなみに夏休みプールに行ったとき、タキは私の腰を見て大絶賛してくれた。

「変態」

私は冷たい言葉を吐きながら、それ以上に冷たい視線をタキに向けた。