固まる神谷を一旦無視して、仏壇の前の座布団に座る。
凄く久しぶりにロウソクに火をつけて線香をたいた。
合掌して、ゆっくり目を閉じる。
「お母さん、この人は神谷 岳君と言って、私に"彼女のフリ"をさせる嫌な奴です。」
と、一応お母さんに紹介しておく。
「…ちょっ!
違います!!今、ひかるさんとお付き合いさせて頂いています。神谷 岳ですっ!!」
慌てて自己紹介する神谷が面白い。
「変な人でしょう?お母さん。
でも、今日は、この人のお陰でちょっと元気になった。」
写真の中のお母さんに話しかける。
「………ひかる。」
少しつり上がった目を伏せて、神谷が私の名前を呼んだ。
「…ん?」
「…鞄、返品する。」

