『もしもし…?ひかるちゃん、聞いてる?』
――ムカイ アンリ…?
『もしもーし』
「…………く」
『ん?』
「…すぐ行くっ!」
乱暴に携帯を閉じると、立ち上がって美緒のベッドの上に置きっぱなしだったコートを掴んだ。
「ひかる?なんかあった?」
「ごめん!!今日は帰るね!!」
いそいそとコートを着ていると
「!」
菜摘に足首を掴まれた。
「…神谷がらみじゃねぇの?」
「………。」
菜摘がこんなに本気で私を睨んだのは初めてで
私は声が出なくなってしまった。
暫くして菜摘が「はぁー…」と長いため息を吐いて
「…なんかあったら絶対呼べ。あいつ半殺しにしてやる。」
と、なかなか本気の声色で
私も美緒も苦笑いするしかなかった。
「ありがと。行ってくる。
今日のことはまた今度話すね。」
「うんっ」
と、ふわふわの笑顔の美緒と
「…ん。」
少し納得の行かないような菜摘。
あなた達がどれだけ私にとって頼もしい存在かわかってる?
「じゃ。」
私は勢いよくドアを開けた。
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