「…………。」
廊下で体操座りをして、気持ちを落ち着かせていると
「……よぅ。」
見えたのは泥んこのスニーカー。
キュッとした足首。
“THE 筋肉”なふくらはぎ。
見上げなくてもわかるよ。
優しい声の
「…平井くん?」
「はい。平井です。」
ヘヘッと笑って
「見事なレシーブだったそうで。」
と、私の横に座った。
「…したくてしたんじゃ、ないもん。」
チラリと平井君の表情を確認すると
心配そうに私を見ていた。
バチッと目があって、反射的に目をそらした。
多分、それは平井君も同じ。
「……瀬合、顔だったんだろ?
大丈夫?腫れてない?」
「…大丈夫。冷やしてるから。」
なんで、平井君が知ってるんだろう…?
そう思ったけど、なんとなく
それは聞かないことにした。

