「…失礼しましたー。」
先生はグランドにいて、保健室には誰もいないのだけれど、一応挨拶をして廊下に出た。
少し行くと、見えてくるグランド。
ここは意外と良い場所かもしれない。
誰もいないし、静かに、ゆっくりできる。
誰の視線も気にせずに
ただ1人を見ることができる。
「……いやだなぁ…。」
いつの間にこんな技を身につけたのか、私は神谷を一瞬で見つけることができた。
「………ゃだなぁ…。」
でも、目の前が滲んで、歪んで
神谷は見えなくなった。
もぅ
あいつの為に流す涙なんて一滴も無いと自分に言い聞かせて
窓に背を向ける。
「……あ…。」
あーぁ。
もったいない。
私の水分。

