「……うん。でも、俺はまだ会ってたからね。」
「………。」
初めて神谷の寂しそうな顔を見て、何も言えなくなってしまった。
「あ、でも、全く会ってない訳じゃないよ!日曜日になれば会えるんだけどねっ
あー、もぅ、忘れて忘れてっ」
一瞬でいつもの神谷が戻ってきて、笑う。
「ひかるもお風呂入っちゃいな?
石鹸もタオルも適当に使っていいから。」
「え、あ、うん。」
背中を押されてあっという間にお風呂の前。
「スウェット、置いとくから着替えて。」
「あ、はい。」
パタリと扉を閉められて、狭い空間に1人。
私はどうしようもない奴だ。
初めて男の部屋に泊まるのに、その男は好きな訳でも、昔からの知り合いでもない。
よく考えれば初キスだってそうだ。
脱いだ服を畳みながら
私は何をしているんだろう…?
って、心底思った。

