きっと好き




「……やっぱりさ、母さんが居ないと寂しい?」



突然の神谷の質問に驚く。



「…なんで?」

「いや、泉さ、あんまり母さんと会ってないんだ。」

「…え?」


「………向こう行こっか。」




立ち上がってリビングに移動する神谷に続いて、私も泉くんの手をゆっくり開いて泉くんから離れた。









「……ウチの母親さ、ちょっと変わった人でさ、“家庭より実験”みたいな。」

「…大学の?」

「うん。で、親父が“主夫”になったんだけど…。」



「母親が居ないと寂しいなんて、当たり前じゃない?」

「…だよね。ごめん。変なこと聞いて。」






神谷は気まずそうに私から目をそらしてテレビのチャンネルを変えた。






「…神谷は?」

「…ん?」

「神谷だって、お母さんが居なくて寂しいって思ったこと、あるでしょ?」