「ははっ それで嫌がってんのか。」
神谷は困ったように笑って
「勝手に帰っちゃヤダよ?」
「な…っ」
今度は意地悪そうに笑った。
「か、帰んないよ。」
神谷からテレビに再び視線を移す。
神谷は泉くんをつれてお風呂に行った。
あぁもう。
私、雰囲気に流されてる。
メガネかけてる神谷とか
いつもより優しく笑う神谷とか
子供に優しい神谷とか
ちょっといつもと違うだけじゃない。
何、意識してるんだろ…?
本当は早く家に帰って頭を冷やすべきなんだけど
家には帰れないし…。
「……もういやだ。」
ボソッと呟いて携帯を開くと
父から着信が17件。
全然気づかなかったなぁ…。
と思っていると
手の中の携帯が震えた。

