玄関で目にしたのは
女物の靴。
革靴なんだけど、絶対に女物。
それから
紅茶の香りがした。
父は絶対にキッチンには立たない。
時代遅れの古くさい考え方をする人だし。
「帰ったのか。早く上がりなさい。」
父がリビングから顔を覗かせた。
「あ、うん。」
変な緊張感。
リビングに入るのをためらうほど。
「ふぅ」と息をはいてリビングに足を踏み入れた。
そして、私の動きはそこで止まってしまった。
「あ、お帰りなさい。お邪魔してます。」
だって、知らない女の人が、私を当たり前のように迎え入れたんだもん。
………もうイヤダ。

