ポロン…
アタシはゆっくり目を開けた。
そして、白い鍵盤から手を放した。
ちょっと気分が沈んでしまった。
思いだし過ぎたかな…?
アタシはふと思い出した。
ここで、アタシは曲を聴かせていたんだと言う事。
あまりに自分の世界に入り過ぎて、忘れかけていた。
でも、スッキリした。
幸せだった。
「あ、コレ…ありがとうございます」
アタシは立ち上がり、涼達の元に向かった。
「咲月…弾けるじゃん! 危ない所だった~」
「え?」
「俺、咲月の事好きになりかけてた…」
「は、はぁ…」
女を口説くのうまいね、涼。

