マックは被ロックオンの警告と同時にランダム回避軌道を指示した。

 急激な回避に機体が軋みを上げているのがシートを通して感じられた。

 激しいGがマックの身体を襲う。

 機体が重い。

 再度被ロックオン。来るっ!

「うおおおおっ!」

 次に来るはずの衝撃はいつまで経っても来なかった。

 慌ててセンサーオープン。

 システムに最新の戦況を把握させる。

 回避運動続行中。

 僚機1。

「ミニッツか、よおし、いい子だ。反撃といくぜ」

 ウインガルの爆散で発生したノイズに紛れてステルス・モードで突っ込んで来たミニッツが、マックにロックオンしていたウインガルをプラズマキャノンで叩き落としたようだった。いや、回避している。レーダーレンジにはまだ2機のウインガルが攻撃の隙を伺っていた。

 2機のウインガルから回避行動を取っているマックのイーグルの周囲を守護するようにミニッツが周回している。

 マックはミニッツとのデータラインをフルにして互いの蓄積データを圧送させ2機のウインガルの戦術分析を行わせ、瞬時に作戦を立てさせた。

 ミニッツが軌道を変える。

 そして、マックはイーグルの軌道を付き纏うウインガルの軌道と交差させるべく変更した。

 大加速。

 エンジン出力において、イーグルは圧倒的にウインガルを上回っている。

 イーグルはその名の通り、猛々しい猛禽と化して、2機のウインガルに再度挑んだ。