3条の高エネルギーレーザーは1つがウインガルの左翼端を掠めただけに終わった。

 ミニッツは航行不能に陥ると、そのときの状況に応じて、全索敵能力を導入した索敵データを僚機に送り、反応炉をオーヴァドライヴさせてその莫大な崩壊エネルギーで強力なECM場を形成する。他の機は送られてきた精度の高い索敵データを元にECM場に飲み込まれた敵機の軌道を予測、慌てて抜け出してきたところを一斉攻撃する。

 そんな戦術を行うことができた。他にもいろいろ応用が利く。

 1機だけ残ったウインガルは他の小隊へ合流すべく回避コースを取りながら加速した。

 ミニッツは新たな戦術を組み立て直し、1機はそのままウインガルを追い、後の2機は苦戦している状況が送られてくるジャッカルへ加勢に向かった。

 有人機のように安全係数を400%以上も取るような生命維持システムや機体のシステム全体に生存保証リミッターがないミニッツは、そのハードに保証されている全能力を戦闘に投入することができる。そして、その能力を有効に配分する事の出来る柔軟で優秀な電子頭脳。よほど優秀なパイロットと上位クラスの機体でないかぎり、1対1でも勝つことは難しいだろう。

 ウインガルを追ったミニッツはイーグルからのデータで早々にウインガルの目的を推測し、フルパワーで動力を解放。最適コースを取りつつ大加速をかける。

 すぐに高エネルギーレーザーの有効射程に入る。

 ロックオン。

 連続照射。

 右翼に直撃。

 加速が鈍り、相対距離が極端に詰まる。

 さらにプラズマキャノンを発射。

 高温圧プラズマ塊が回避軌道を取ろうとしていたウインガルの機関部からコクピットを嘗めた。

 一瞬間を置いて、ウインガルは爆散した。

 ミニッツはその軌道を維持。爆散に紛れてステルス・モード・オン。さらに加速を続け、次の目標を捉えた。2つ。

 プラズマキャノンを再充填。

 1機をロックオンと同時にマックの悲鳴がダイレクトにミニッツの電子頭脳を刺激する。瞬時に目標をもう1機に変更してロックオン。オートシュート。