マックとしても余り関わり合いたくない相手ではある。それでも、過去何度か相手にした事があり、その時は、完膚なきまでに叩き潰していた。

 向こうのブラックリストの初めの方に載っているはずである。

「まぁ、幾ら考えても始まらないか、キム、依頼人との連絡は?」

「とってあるよ。これがその指示」

 そう言ってキムは、1枚のカードを渡した。

 マックは、その表面にプリントされた高密度言語を一読するとS・PACのカードストックのスリットへぶち込んだ。

「あっちも随分やられたらしいな」

「研究所の記憶中枢に侵入しようとしたらしいね」

「荷物に関するファイルはユニットから完全隔離されてたらしいから大丈夫だろ」

「でも、だいぶ他のファイルを焼かれたみたいだね」

 2人は、さらに幾つかカードに関する内容を確認し合った。

 高密度言語は、速読能力を文字の側から高めた言語体系であり、一目見るだけで内容を理解することができるが、伝えられる内容は大まかなものだけでしかないため、正確なことを知るためには共通の知識のある何人かで読んで確認し合うしかない。

「さて、荷物を受け取りにいってくる。いつでも発進できるよう待機しててくれ」

 そう言い残し、マックは、ジャッカルを後にした。