「本日からここに住まわせてもらうことになりました。藍沢 芹那‐アイザワ セリナ‐です」
簡潔且つ、率直に今の現状事実を述べるあたしは、そんな可愛いセイちゃんをいじくり倒す為にふざけて、まるで嫁(トツ)いだ嫁のように振る舞う。
「えっ?えっ?」
やはり予想を裏切らない反応を見せるセイちゃんは、戸惑いの声を上げて沢山のクエスチョンマークを飛ばしていた。
「マジで言ってるの?」
「マジマジ、大マジ!!」
これからよろしくね?
そう笑い掛けるあたしに、
「…嬉しい」
口を手で覆い隠すセイちゃんは照れながらもそう呟いた。
~~っもう!
「可愛い~っ!!」
あたしが不意打ちに抱き着いた所為で、踏ん張りきれずバランスを崩したセイちゃんは、ドタンと大きな音を立て、共に床に倒れ込んだ。
「あらまあ。仲良しさんねぇ」
ふふっと柔らかく笑う智恵美さん。
「俺部屋行くわ」
バカらしいというようにシラけた目をする凌駕。
新生活はまだまだ始まったばかり。
