年上の彼とのケンカなんて、いつものことだ。

相手は20歳をとっくに過ぎた社会人。

あたしは、まだ20歳を過ぎていないただの子供。

そんなあたしたちの年の差があり過ぎるから、いつもくだらないことでケンカする。

あたしの短気も、手伝って。

「出てってよ!」

叫んで、彼に向かってペンケースを投げる。

ペンケースは彼を通り越し、後ろの壁に当たる。

バラバラと、ペンケースの中身がじゅうたんのうえにこぼれる。

彼は彼で、黙ってあたしの顔を見つめている。

「もう…出てって!」