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『有愛 鈴鳴(アリア スズナ)』ちゃん。



さっきの可愛い女の子の名前。

宙音くんの知り合い?…と思って、宙音くんに聴いたら、なんと幼馴染みだったみたい。

中学二年の時に引っ越して行っちゃって、それきり連絡取ってなかったらしいんだけど…すごい偶然。


こんな所で会うなんて。
きっと運命なんじゃ…


「宙音の居るバンドなんて、こっちからお断りよ!
絶対いや!あり得ないしっ!」


「なんだよその言い方。
久々に会った幼馴染みへの一言目がそれかよ!?」


「宙音のことなんて幼馴染みとも思ってないしっ!」


…なんか、仲悪いのかな。

いや、喧嘩友達ってやつなのかな?

喧嘩するほど仲が良いっていうし。


「鈴鳴ちゃんは…なんの楽器弾けるの?」


私は二人の喧嘩に割って入った。


「あたし?
あたしはアコギだけど。」


「そ、そうなんだぁ…」



しーん…



「おい、鈴鳴。
美歌ちゃんこわがってんじゃねえか。」


「はぁ?
あたし何も言ってないし。
つぅか何その髪型。
キモっ!」


「これはドラムたたいてる時に邪魔だからくくってんだよ。
つぅか鈴鳴にキモいとか言われたくねえし。」


…また喧嘩になっちゃった。


「なぁ、謡は知らねえの?
鈴鳴ちゃんのこと。」


奏楽は只今喧嘩中の二人に聞こえないように小さな声で謡くんに聴いた。


「……一応…知ってる」


「だよな。
だって鈴鳴ちゃんが引っ越したのって中学ん時だろ?
宙音と謡、同じ中学だもんな。」


そっか。
そう言えばそうだったね。


「宙音と鈴鳴ちゃんって、その時からこんな仲悪いの?」


私は謡くんに気になっていたことを聴いた。


「…いや。
…鈴鳴は…宙音にとって…初恋の人……らしい。」