「そ、奏楽…早かったね?」


ドアを開けると、汗だくの奏楽の姿。


「走って来たから…」


はぁはぁーーーと、
息を切らしている奏楽。


そんな走って来なくても良かったのに。


「とりあえず上がって?」


「おぅ。
おじゃましま…」


「あーー!
美歌の彼氏くんっ!」


忘れてた!

お母さんの存在。


うわぁ…
お母さん、奏楽のこと見過ぎだって。


「あ、えっと…
美歌さんとおつき合いしてる…
翡翠奏楽ですっ!」


「あんらまぁ~
カッコいい男の子!
礼儀正しいし!
どーぞ、上がって頂戴♪」


お母さん超ご機嫌だし…

奏楽が帰ってから色々聞かれるんだろうなぁ。


「おじゃましまーす」


奏楽はさっきお母さんに塞がれた言葉を、
もう一度言って入った。


私は奏楽を自分の部屋まで案内した。

何度か来てるし、分かると思うけど。


「…焦ったぁ~」


奏楽は私の部屋に入ってから、
そっとその一言を漏らした。


「いきなり美歌の母さんが出てくるもんだから、
緊張した…」


「ごめんね、お母さんが居るってこと言ってなかったね」


「いや、良いんだけどさっ
優しそうな母さんだったし」


ははっと笑った奏楽。
奏楽の笑顔ってなんだか安心する。


「あ、そうだ!」


ーーーと、私は話をふる。