名刺だった。


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プロデューサー
小松 響

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名刺には、そう書かれていた。


「こまつ…ひびき?さん?」


とりあえず、
名前の読み方を聴いた。


「ピンポーン!
まぁ、読みやすい漢字だからね」


あたった。


「…ん?」


名前の上に書いてある文字…

“ プロデューサー ”

と、いう文字。



…プロデューサーって、
えぇぇー!?


「ぴゅ、ピュロデューサーって…!」


「おしいっ!
“プ”ロデューサーね☆」


噛んじゃった。

混乱しすぎて。


「君さ、歌手にならない?」


「…はい?」


この男の人、
さらっと重要なこと言わなかった?


「ん~、だから、歌手デビューしてみない?って。」


「だ、誰がですか?!」


「僕は今、君としか会話してないんだけどな。」


「え、や、だって…」


私に…言ってるってこと?
歌手に…って?


こんな、初心者の歌が、
デビューなんか出来るの?


「なんの冗談ですか?
少しも面白くないんですけど。」


「あんれー
もしかして、自覚なし?
君、凄く歌うまいよ」