翌日…


「おっはよ~っ奏楽♪」


朝っぱらから元気に声をかけてきたのは、花音。


「…ふぁ~。
おっす、花音…」


花音に比べて元気のない、俺。

いや、元気ないわけじゃねぇけど、どーも朝には弱いんだよな~。


「あくびしながら挨拶しないでくれる~?
こっちまで眠くなるんだけど。
ほら、シャキッとするっ!!」


花音は俺の背中をポン!と叩いた。


「ハイハイ~」


昔から全然かわんねぇ、世話焼きの花音。

俺もいつまで花音に頼ってんだろなー。
自分でもだらしないと思う。


「そぅそぅっ!
昨日さ、美歌って言う、めちゃくちゃ歌うまいヤツをボーカルに誘ったら、
なんと…見学してくれるんだってさ!」


「本当にーッ?!
え、ぇ、しかも女の子でしょー?!
やったァー!」


笑顔でガッツポーズをする花音。

花音は俺達の部活で、女1人だったから、
ちょっと寂しかったのかな。


「ぉ~。
女、女~!
なんか、天使みたいな女の子だった。
話してみると超面白かったけど。
あははっ!!」


そう、美歌は歌ってる時はキラキラしてて天使みたいで…
誰もが思わずうっとりしちまう様な、そんな感じなのに、

話してみるとおどおどしてるっつ~か、ずっと下向いてて…
恥ずかしがりなのかな?


でもそれはそれで面白かった!


「ずいぶんと楽しそうにその子の話するんだね…奏楽。」


「え?」

一人で笑ってたから、聞き取れなかった。


「…ぅうんっ
気にしないで。
たいした話じゃないから。」


さっきまでと明らかにテンションが違う…
俺なんかしたっけ?


「言えよ~
気になんだろっ」


わざと花音の元気のなさに気づいてないフリをした。

「言わないもんねぇ~
ベーッだ!」


そんな話をしているうちに、いつの間にか教室だった。