…しちゃった、キス。

『おでこ』にだけど。


キスする前に閉じた目を、まだ開けれずにいる私…



目を開けて、
奏楽が起きてたらどうしようって思っちゃう。

そんな、タイミングよく起きるはずないのに。


勇気の出ない私…

それならキスなんてしなければ良いことなのに。

自分でも何がしたいのか、分からない。



そっ…



そっと目を開ける私。


…良かった。
奏楽は、まだ寝てる。


緊張して、手が震えてた。


でも、良かった。

関係が壊れなくて。


「…ん。
あれ?
俺寝てた?」


奏楽が起きた。

危なーッ!

もうちょっと遅くにキスしてたら
絶対バレてた…


「うん、奏楽爆睡してたよ!」


「まぢかよ…
恥ず~!」


な、なんか…
まともに奏楽の目見れないかも。

好きな人に隠し事するのって、
なんか辛いなぁー。


「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。」


もー帰るのか…
ちょっと残念。


「ぇ、ぁ、うん。
ごめんね、
全然勉強教えられなくって。
またいつでも教えるからっ!」


勉強しに来てくれたのに、一回も勉強してない。


「おぅ!
じゃぁ、また明日っ!」


「うん、また明日ーッ」


私は家から少し外に出て、奏楽の姿が見えなくなるまで、
手を降り続けた。