「え、や、俺全然展開見えてないんだけど…」


奏楽もか。

そりゃそうだよね。


「まぁいいから、黙って聞いててよ♪♪
…あのね、あたし…奏楽のこと好きだったんだ。」


…頭が真っ白になった…って、今、この瞬間のこと表すのかな?

うん、多分そうだ。

真っ白っていうか、真っ黒な気もするけど。



え、本当…意味わかんないよ。



意味わかんない。

わかんないよ。

何がどうなってんの?

私、どうしたらいいの?


「…え?」


私が声に出すより、先に聞いたのは奏楽だった。


「あはは~ごめんねぇ~いきなりで。
信じられないかもだけど、まぁ聞くだけ聞いて。」



…。


信じられないよ、私。


「あたしさ、美歌ちゃんが奏楽を好きになるよりずっと前から…
奏楽のこと好きだったんだ。」


…!!

花音ちゃん…っ!!


…じゃぁ、私…ずっと花音ちゃんを傷つけてたの?

花音ちゃんの気も知らないで、ずっと奏楽と一緒にいたの?



そんな、私…そんなつもりじゃ…



「あ、違うの美歌ちゃん。
美歌ちゃんを責めるつもりなんてこれっぽっちもないんだ。
そりゃ、美歌ちゃんに嫉妬したこともあったけど…
黙ってたあたしが悪いし、美歌ちゃんは知らなかったわけだし、何にも悪くない。」


頬の上を、つーっと水が流れた。


私、酷いことした。

花音ちゃんがどんだけ辛かったか…。

片想いって、辛くて、大変で…


「ごめんなさい。」


何度謝ったって足りないけど、ごめんなさい。

本当にごめんなさい。


私は、深く頭を下げた。


「美歌ちゃん、頭上げて?
あたし、今は何とも思ってないから、奏楽のこと。」



…え?