俺は、恋なんてしたことがなかった。

というか、好きっていう感情がイマイチ分からなかったんだ。

好きなやつなんてたくさん居るし…
友達としてだけど。


特別好きなやつとか言われても…全然ピンとこない。
そう思っていた。



でも、違った。

もうとっくに恋なんて始まっていたんだ。

音をたてて…
俺は、音に気づかなかっただけなんだ…



そう。




「恋の音」に…



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「あ~っ!もう!」


俺は苛立っていた。


なぜかと言うと…話せば長くなるが…


俺、翡翠 奏楽(ヒスイ ソラ)は、
バンド部と言う部活を作って、バンドをしている。

ちなみに俺はなんの楽器かと言うと、ギター。

別にどんな楽器でも良くて、でもバンドはしたくって…

バンドっつったらギターだろ!っつーことで、
ギターにした。




ちなみにメンバーは…


「もぅ、奏楽!
勝手に1人で怒らないでよっ
意味分かんないっ!」


こいつが、バンド部の1人。

姓 花音(カバネ カノン)

俺の幼馴染で、キーボード担当。


小さい頃からの付き合いで、
面倒見が良いから、いつも花音に頼らせてもらってる。


「まァまァー♪
奏楽もお年頃なんだって。
失恋でもしたんじゃない?」


でもってこいつはドラム担当の、


瀬名 宙音(セナ ヒロト)


俺の親友。


女みてェに前髪ちょんまげしてっけど、
これはドラムしてる時に前髪が邪魔だかららしくて、
一応男。


「…失恋…なら…慰めてあげなければ…」


この見た目無愛想なやつが、ベース担当、


明瞭 謡(メイリ ウタイ)


こいつも俺の親友。
見た目は、まぁ無愛想だな。
でも女子からはクールとか言われてて結構モテてる。



…つかちょっとまてっ!


「俺がいつ失恋したって言うんだ!
勝手に人を失恋させんな!」


「水くせぇな、奏楽。
俺がいつでも相談乗ってやるじゃん」


「いや、マジでちげぇから。
俺がいいてぇのは…ボーカルの話だ!」