深呼吸をした
息を吸えてるのかわからない
それでも脳に酸素を送ろうとする


海の香りが鼻に入って
夕方独特のやんわりとした空気を胸一杯入れて

俺は───



「美由希……俺、好きだ」



そう言って、俺は驚いた様な美由希の目をしばらく見た


「え……?」

「…俺、マジだから。マジで………好き」



そう言って、俺は美由希の返事を聞かずに旅館に帰った


帰る時、空を見上げた

夕方はもう終わりそうで、海岸線に薄くオレンジが光っているだけ

薄暗くなった空に、一番星が輝いていた