美由希が俺に抱きついてる

やべぇ
やべぇ!
やべぇ!!

美由希の胸の音がわかる

(……早くなってきた?)


「裕也凄いドキドキしてるね」

「……え…?」

「だって分かるもん。こんなに近いんだから」

そう言うと美由希は少し顔をあげ
「えへへ」
と笑った


(…そりゃそうだって。そりゃ…)



「ちょっとは落ち着いた?……ゴメンね、いきなり」

そう言って美由希が抱きつくのを止めて、離れた


俺と美由希の距離は近い
それでも俺にとってはスゲー遠く感じた


「…美由希……」

「……ん?」

軽く首をかしげながら
きっと夕焼けのせいなんだろうけど少し顔を赤くしながら、美由希が微笑んだ


今しか
今しかない
今がチャンスだ

脳が俺にそう思わせる


カッコよくなくてもいい
バカみてぇにクッセーセリフでもいい
俺の気持ちを、ただ素直に言ったらいい


「…美由希、俺……」