キケンな恋の方程式【完】

受話器を握り締め、ママの反応を窺うあたしの耳に聞こえたのは、


「何それ。
雫は、ママの幸せを奪うつもり?」


ママのジトッとした、恨みがましい声。


「苦節13年。
パパが亡くなってから、女手一つであんたを育て、
やっと幸せを掴んだママに。
その幸せを、手放せって言うの?」


それに続く、すすり泣き。


「ママに、女としての幸せを捨てろって言うの?」


かなり芝居がかった大げさなセリフだけど。


ママが女手一つであたしを育ててくれたのは、事実だし。