ぼくは最近
パパの顔を見ていない。
パパに抱っこされてない。
朝早く家を出て
夜中に帰ってくるパパ。
ママとパパは夜中に
よく二人で話をしてた。
ぼくにも聞こえてくる
パパの怒鳴る声と
ママの泣き声。
それと
物を投げつけてる音や
ママを叩く音。
パパのあの大きな手で
叩かれるママは
どんなに痛いだろう。
どんなに怖いだろう。
ぼくが好きな
あの大きなパパの手で
ぼくが好きな
ママを叩かないで。
ママを泣かせないで。
ぼくじゃまだ
ママを守れないよ。
パパが守ってあげないと
だめなんだよ。
…―しばらくして
パパは家を出て行った。
ぼくとママを置いて
家を出て行った。
