ドクドクドクドクドク・・・ 早くなる鼓動 ガチャッ 「もしもし」 (先生だ!) 「た、竹邑と申しますが、伊藤さんのお宅でしょうか・・・?」 (やばい、緊張する・・・) 「おぉ、待ってたよ」 「先生、忙しいのに、ごめんなさい」 「ダメだったら断ってるよ」 「でも・・・たいした用じゃないし・・・」 「ん?」 「・・・」 「だまるなよ」 「ごめんなさい」 両手で子機をにぎった。 (せっかくかけたのに、こんなんじゃダメじゃん・・・) うつむいたまま下唇を噛みしめた。