いつものように伊藤先生と話をしていたある日。
教室の前を通りかかった先輩が声をかけてきた。
制服のネクタイを緩め、少しずらしたズボンのポケットに手を入れ、
「伊藤ちゃん、最近明るくなったねぇ。前は笑わなかったのに」
嫌味っぽくなく素直に安心したという表情をしていた。
私の知らない先生を見た気がした。
もっと先生の事が知りたい・・・
思い切って、こっそり先生に言った。
「今日、電話してもいいですか?」
一瞬驚いた先生だけれど、
「8時くらいで大丈夫?」
と言ってくれた。
(よっしっ!)
心の中でガッツポーズ。
